反則(2018年の下書きより)

出来ることで自分を語る人よりも、

出来ないことで自分を語る人のことが愛しくてたまらない。

わたしも同じことを思っていたし、そういえばいまも変わらずそう思っています。

 

自分が着なくなった服を譲ると言っただけで絵文字たくさんつけて画面いっぱいに喜んでくれる年下の子、ほんとうはずるかったり、ほんとうはべつに大したことなくて、いつか失望させてしまうのだったらごめんね。

だれとも未来を約束できない、人間みな等しくいつか死ぬのだから、それならもっと使い果たしたい。だから同時になにも要らない。なにもなければ、煩わしい気づかいも、読めない漢字も、わからない世界の仕組みも、ぜんぶ必要がない。無駄に思えることを無駄に他人にしてあげられる人が大好きだ。そういう人と、もっと生で、もっと近くで、もっと乱暴にわかりあいたい。

わからないと言ったら諦められるのも、呆れられるのも、どちらも傷つくのに、大げさに傷つくと笑われる。傷つかない人がかっこいいなんていう価値観しね。雨の日はもっとぜんぶを嫌になったり、だれかに大声で悪口を言われて興奮したり、メールの文脈が読み取れなくて勘違いしたり、そういうのでもっと傷つきたい。傷ついたらそのぶん強くなれない、相応に強くなれないことが自分にとってずっと謎で、なにが間違ってるのか、周りの大人を見習おうとしたけれど、みんな等しくなにかに日々傷ついているはずなのに、だれも向き合わずに、いつか死ぬことだけを夢見て忘れる努力をする。どうしてそうなのか、自分もそうなってしまうのか、と思うと背筋が凍った。傷ついたらそのぶん強くなれないから、また傷つく、傷つくことが怖いのは死ぬことが怖いのと同じ。どうせ最初から分かりきっているのなら、思い切り回り道をしたい。嘘やまやかしで自分を言い聞かせることを幸せというのなら、わたしは幸せでなくていい。

 

いけないことばかりして叱られたい。叱られても目を逸らしてばかりで、いつの間にか呆れられても、帰り道に寄り道して1時間100円で歌ううたがひどく心に沁みることが出来るから、いつか死ぬから忘れる努力をするような人と関わりを絶って自分に酔うくらい、また明日も好きな人のことを考えて、生傷たくさん作って、死んだら読んでもらえると期待して文章を書きます。

 

べつにいま、死ぬことを考えることも出来るし、深夜なのにアイスを食べようかこのまま起きていようか迷うことだって出来る。なのにいつもめんどくさい方を選んでしまう。死ぬことは簡単だから、今すぐ死ぬことを選べないなら、こんなにも面倒を巻き込みながら、醜く生きてしまうだけだ。

どうしてもわからないことがこの世にはあるけれど、考えるのをやめたら死ぬから考え続けるし、もっと無駄なことばかりしたい。わからないことが怖いけど、叶わないことはべつに怖くない。死ぬのがわかっているからなんでも出来るし、なんにも出来ない。ゼロか100かじゃなくて、ゼロも100もある。だからもっと簡単なのにと思う。どうしてほんとうのほんとうはもっと無垢で、簡単で、どちらかの感情なのに、どんどん言い訳をくっつけて逃れようとするの。変わらないことは無理だけど、変わらず愛することは苦じゃない。自分は他人にはなれないけれど、自分のままでいることは簡単だから、こんな自分を慕ってくれる人もほんとうにびっくりするけど、少しいるんです。こんな私なのにと思うほど、あの人に認めてもらいたいと強く思う。こんなに思うのに叶わないことが、とてつもなく生きているかんじがする。どうせ死ぬならもっともっと嫌われたい。愛されないなら呆れられたい。

 

暗い考えも、あっけらかんと笑顔で話してしまえる人が好き。それを許して受け入れてくれる人が稀有だから、まだスーパーの店員としか話さない一日とか過ごしてしまう。相手がわたしを理解しようとする努力を諦めることも、その努力を無下にして嘘ばかり伝えることも簡単に出来る。だからよくわからないと言われる。諦めた態度をとられるとこっちだって冷める。どうでもいい人にだったらいくらでも、冷めた目で、嘘ばかり言いたい。

 

ずっとわたしのことを忘れずに、常に考えてくれる人が欲しかったと言ったら、大丈夫。ずっと忘れないよ、と言ってくれた。その時救われたと思った、今まで傷ついたことがすべて報われたのだと思った。だけどわたしはバカ正直に好きしかなかったから、もっと複雑になれなかった。根本はずっと変わらずに、ずっと一途に大好きで、でもそれだけじゃつまらないと思われてしまうから、色々言い訳をくっつけてわかりにくくしてしまった。そうしたら、結局は諦められてしまった。

 

 

どれだけ自分の行動の見た目は難しくて、危なっかしくて、それでいて絶対に嘘だと思えるくらいの信用性のなさだったとしても、その行動を突き動かすものはいつだって単純だった。自分には素直に伝えて喜ばれるほどの魅力はないと思っていたし、そんなの自分が一番つまらなかったから、どんどん無駄を積み重ねてしまったんだ。嘘やまやかしはいつか自分の足を引っ張るから、そんなの使わなくてもいいように、わたしだけを見て欲しかった。

無視するのならせめて目を見て欲しかった。

 

わたしはいつまでも変わることは出来ないから、だから一瞬でも、今どうしても欲しいって気分にさせたい。わからないと思っても諦めずに考え続けるから、見返りを求めては愛ではなくなるのなら、どうせなら嫌われるくらいに目を見てくれるまで追いかけたい、死ぬまで毎日ゼロも100もあるけれどその中間はない混沌で悩み続けたら、その先にあるのが天国や地獄なら、なにもわからなかったとしても、わからないままでもがいている。何も理解されなくても、すべて同じ価値観の人など存在しないのだから、べつに無駄でもない。わかりあおうと努力した先にいつも結果があるわけではない、だからべつに。すべてを理解しあえなくても、過去のなにかをずっと許せなくても、それだけでわたしを諦めて欲しくない。ずっと理解できなくていいし、ずっと許せないのならずっと謝る。この世のどこにも無駄なことなんてほんとうはない、だからもっと恥ずかしくなるくらい愛してるって言いたい。